人工膝関節置換術とは

主に変形性膝関節症やリウマチなどにより、軟骨がすり減って変形した膝関節の一部を取り除き、人工的な関節部品（人工膝関節）で置き換える手術です。人工膝関節には靭帯を温存するタイプと切除するタイプ、セメントで固定するタイプと金属で直接固定するタイプ、膝の内側と外側を両方交換するタイプと片方だけ交換するタイプなど、様々なタイプがあります。また、手術の方法には膝関節の中央を切開する方法、外側を切開する方法、内側を切開する方法などの術式があります。患者さんの膝の状態に合わせて最適な方法が選択されます。膝関節では、痛みがなく、安定感があり、真っ直ぐ伸びて良く曲がることが求められます。

適応疾患

変形性膝関節症、関節リウマチ

術式

全身麻酔をかけて、膝関節の前面の皮膚を切開します。麻酔はエコーガイド下の神経ブロックを併用したり、手術終了後に関節内ブロックを併用したりします。膝関節に到達したら、軟骨がすり減って変形した関節の一部を取り除きます。大腿骨（ももの骨）と下腿骨（すねの骨）を特殊な工具を使って削ります。関節拘縮の原因となっている関節包や靭帯を剥がしてバランスを調整します。大腿骨と下腿骨の形状に適合した金属製の部品で関節表面を置換します。プラスチック製の人工半月板を大腿骨と下腿骨の間に挿入します。こうして、自然な関節の動きが再現されます。
※当院では、日本人向けに開発された純国産人工膝関節を採用しています。靭帯を温存するタイプ、セメントで固定するタイプ、内側と外側を両方交換するタイプを選択される場合が多いです。
※当院では、筋肉のダメージの少ない手術である内側法を採用しています。

術後経過

患者さんの状態によって異なりますが、手術当日はベッド上で安静にしていただきます。当院では、ドレーン（血抜きの管）は原則として入れません。手術翌日から歩行を開始します。曲げ伸ばしのリハビリも始めます。歩行が安定した段階で退院となります。

合併症

手術は安全を期して慎重に行いますが、以下のような合併症がありえます。

• 人工膝関節周囲の骨折
• 創部感染
• 神経の障害によるしびれ、感覚鈍麻、運動障害
• 血管損傷
• 深部静脈血栓症
• 出血によるショック
• 肺炎や膀胱炎などの内科的合併症