正しい減塩とは?「天然塩」と「精製塩」の違いと高血圧への影響

  • 一般内科
様々な種類の塩の写真

「高血圧には減塩が必須」というのは、もはや世の中の常識とも言えるものの一つではないかと思います 。

「塩=血圧を上げる=悪」という図式は、多くの方の頭の中にもあるのではないでしょうか?

 

実は2種類ある。「天然塩」と「精製塩」の違い

器に盛られた塩の写真

さてこの塩、実は現代の世の中には2種類の塩がある事をご存知でしょうか?

それは「天然塩」「精製塩」です。

 

  • 天然塩:海水を干して作る海の塩や岩塩など、文字通り天然にできる塩のこと
  • 精製塩:イオン交換膜法を使い、工場で作られる塩のこと

【比較表】成分や味はどう違う?

この二つの違いは、表にすると一目瞭然です。

項目 天然塩 精製塩
製法 海水・岩塩を天日乾燥や平釜で製造 海水を電気分解・再結晶化
主成分 塩化ナトリウム + 微量ミネラル ほぼ塩化ナトリウム(99.9%)
ミネラル カリウム・マグネシウムなど含む ほぼ含まれない
まろやか・コクがある しょっぱさが強い
価格 やや高め 安価

 

「減塩」が必要なのは精製塩。ミネラル欠乏のリスクとは

必須ミネラルを表にした画像

ご覧の通り、精製塩はほぼ塩化ナトリウムのみなので、摂り過ぎるとダイレクトに血圧に影響を及ぼします。

いわゆる「減塩」というのは、まずはこの精製塩に関してのものと考えて良いかと思います。

一方、天然塩のナトリウムは70~80%くらいであり、残りはマグネシウム、カリウムなどの必須ミネラルを含みます。

血圧を気にするあまり、極端にすべての塩を避ける食生活をしていると、これらのミネラル欠乏を起こす可能性もあるので注意が必要です。

 

【実例】厳格な減塩指導で衰弱してしまった80代女性の話

無理に減塩をして体調を崩し歩く際に杖が必要になった高齢女性

ここで、私が経験した一つの実例をご紹介します。

心不全を発症し入院された80代半ばの女性。退院時にご本人と娘さんは厳格な「減塩治療」を指導されました。

真面目な娘さんは指導通りの減塩料理を作りましたが、味が美味しくないためご本人は食べたがらず、隠れて味の濃いものを食べては怒られる……

いつしか親子関係も悪化し、食欲低下で歩くこともままならなくなってしまいました。

 

「天然塩なら好きなだけ使っていい」その後の劇的な変化

相談を受けた私は、前述した2種類の塩について説明し、以下のようにお伝えしました。

「いくら心臓のためとは言え、そのために歩けなくなってしまっては本末転倒です。天然塩であれば、好きなだけ使って料理を作ってあげてください

その後、美味しい料理を食べられるようになった女性は食欲が回復。血圧の目立つ上昇もなく、散歩ができるまでに体力が戻り、親子関係も改善しました。

さらに、心エコー検査では病気になる前以上に心機能が改善しており、主治医を驚かせたそうです。

 

正しい知識で健康を守るために

医師が患者に対して正しい減塩指導をしているところ

我が国では昭和後期から平成初期にかけて、天然塩が手に入りにくい期間が30年ほどありました。

その影響か、医療関係者でも2種類の塩の違いを理解せず、一律に減塩指導が行われているケースがまだ見受けられます。

しかし、天然塩が容易に手に入る現代では、状況は変わっています。

血圧を気にするあまり、塩分を避けて夏場に熱中症になってしまうケースも本末転倒です。

正しい知識を身につけて自分の健康を守ることが大切です。

ご自身の体調や食事について詳しく知りたい方は、是非筆者の外来を受診してみてくださいね。

 

池袋西口病院の入口外観写真

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執筆・記事監修医:坂口 大輔(サカグチ ダイスケ)

坂口 大輔(サカグチ ダイスケ)

現歴

一般内科

出身大学・卒業年

日本大学医学部 平成18年卒

内科全般、特に生活習慣病の治療を中心に、15年以上従事してきました。

生活習慣病の治療は患者様が主体で、私たちはサポート役です。

気になる事やお悩みは一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。

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