しびれの原因はもしかしたら腰椎椎間板ヘルニアかも?原因や症状について解説

脊椎センター長監修記事

大島功生
池袋西口病院脊椎センター長/日本整形外科学会専門医/日本脊椎脊髄病学会指導医
池袋西口病院では脊椎手術に特化した(池袋西口病院脊椎センター)を運営しています。その施設の責任者である大島功生医師監修の下、リハビリテーションや脊椎疾患、手術術式についても寄稿していきます。
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日本人の多くが腰痛を持っているとされますが、医療機関で検査すると椎間板ヘルニアと診断されることがあります。この記事では腰椎椎間板ヘルニアの原因やなりやすい人の特徴、治療法や予防法について解説します。
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【目次】
■腰椎椎間板ヘルニアとは?
■腰椎椎間板ヘルニアになりやすい人とは?4つの原因
■腰椎椎間板ヘルニアになりやすい人の特徴
■腰椎椎間板ヘルニアの治療方法
■腰椎椎間板ヘルニアの予防法とは?
■まとめ
■腰椎椎間板ヘルニアとは?
人間の背骨(脊椎)は27〜28個の椎骨で構成されており頚椎(けいつい・首の骨)や胸椎(きょうつい・いわゆる背骨)、および腰椎(ようつい・腰の骨)にはクッションの役割を持つ椎間板が存在しています。
椎間板は垂直にかかる負荷には強いのですが、前後・左右に偏った負荷がかかり続けると、中から髄核(ずいかく)が飛び出して神経を圧迫し、手足の痛みやしびれなどを引き起こす=ヘルニアを発症するのが特徴です。
ヘルニアは首(頚椎椎間板ヘルニア)や、背中・胸(胸椎椎間板ヘルニア)に起こるケースも珍しくないのですが、特に頻度が高いのが腰に見られる腰椎椎間板ヘルニアです。
腰椎椎間板ヘルニアには、神経根型と馬尾型の2種類があります。神経根型のヘルニアは比較的軽症例であり、自然に改善するケースも少なくありません。
馬尾型のヘルニアを発症すると両足のしびれや歩行障害、排尿・排便障害を引き起こすケースもあるため、自己判断ではなく医療機関を受診することが重要です。
腰椎椎間板ヘルニアのセルフチェック
腰痛の症状は個人によりさまざまですが、腰椎椎間板ヘルニアを発症している場合、以下のような特徴的な症状が見られる傾向にあります。
✓ある日(ある時期)突然、腰や足に痛みが現れた
✓安静にしていても、常に痛みやしびれがある
✓痛み・しびれがある腰や足に体重をかけると、症状が強くなる
✓階段を上るときなどに足が持ち上がりにくい
上記の症状が見られる場合は腰椎椎間板ヘルニアを発症している可能性も疑われるため、なるべく早めに専門の医療機関を受診しましょう。
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腰椎椎間板ヘルニアになりやすい人とは?4つの原因
腰椎椎間板ヘルニアの主な原因としては以下の4つがあげられます。
✓加齢
✓労働環境
✓喫煙
✓遺伝子(遺伝)
加齢
腰椎椎間板ヘルニアの原因の1つが加齢です。椎間板は軟骨の一種であり、およそ75%が水分によって構成されています。
年齢を重ねるごとに椎間板内の水分が失われることで弾力が低下し、クッション機能を十分に発揮できなくなるため、ヘルニアを発症しやすくなると考えられています。
労働環境
腰椎椎間板ヘルニアの原因としては、遺伝子(遺伝)もあげられています。椎間板を構成する成分が遺伝によって左右されることから、特に若い方のヘルニアには遺伝が関わっているのではないかと考えられています。
喫煙
たばこに含まれるニコチンには毛細血管を収縮させる作用があることで知られています。毛細血管が収縮すると血液の循環が滞り、栄養不足により椎間板の変成を起こしやすくなるのではないかと考えられています。
遺伝子(遺伝)
腰椎椎間板ヘルニアの原因としては、遺伝子(遺伝)もあげられています。椎間板を構成する成分が遺伝によって左右されることから、特に若い方のヘルニアには遺伝が関わっているのではないかと考えられています。
腰椎椎間板ヘルニアになりやすい人の特徴
腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板に対して偏った圧がかかることで発症リスクが増加します。そのため、次のような方は腰椎椎間板ヘルニアを発症しやすいと考えられます。
✓日常的に中腰・前かがみの姿勢をすることが多い
✓重たい荷物を持つ、腰を強くひねる動作をすることが多い
✓姿勢が悪い(猫背)
✓長時間座りっぱなし、立ちっぱなしの仕事をしている(運転手など)
✓長肥満である
✓ハイヒールをよく履いている
猫背はもちろん反り腰の姿勢が続くと、腰の骨にかかる負担が増加するため、ハイヒールを履く習慣があるかたや、椅子に浅き腰かけて極端に胸を張る座り方をしている方は注意が必要です。
腰椎椎間板ヘルニアの治療方法
腰椎椎間板ヘルニアの発症が疑われる場合、主に以下の方法で治療がおこなわれます。
✓保存療法
✓手術療法
ここでは、腰椎椎間板ヘルニアの治療方法について解説します。
保存療法
椎間板から飛び出したヘルニアは身体の免疫系によって異物とみなされるため、白血球による貪食が起こり、次第に縮小すると言った特徴があります。
そのため、日常生活に支障を来すような症状があらわれていなければ、基本的に保存療法での改善を図ります。保存療法の種類としては主に以下の5つがあげられます。
✓安静
✓装具(コルセット)
✓薬の服用
✓運動やストレッチ
✓神経ブロック
腰椎椎間板ヘルニアに対しておこなわれる保存療法について解説します。
安静
腰椎椎間板ヘルニアにより急に腰の痛みが出た場合、まずは安静にすることが第一とされます。ヘルニアが原因となって起こるぎっくり腰の場合は、48時間ほど炎症期が続くため、患部のアイシングをおこなった上で安静にするとよいでしょう。
装具(コルセット)
腰椎椎間板ヘルニアにともない可動痛が見られる場合には、コルセットなどの装具をすると無理な動作を避け、患部を安静に保つ効果が期待できます。
薬の服用
薬の服用も腰椎椎間板ヘルニアに対する保存療法の1つです。一般的には非ステロイド性の消炎鎮痛剤やオピオイド鎮痛薬、アセトアミノフェンを配合した治療薬などが用いられます。ただし、痛みの緩和には有効ですが、神経痛にはあまり効果が期待できないこともあります。
運動やストレッチ
仮にヘルニアが原因でぎっくり腰を発症した場合であっても、過度の安静は症状の回復を遅らせるため注意が必要です。
急性期を過ぎたら無理のない範囲で身体を動かし始めましょう。痛みが落ち着いてきたら腹筋運動など体幹の筋力アップを図ったり、腰椎の前腕を減少させるためのストレッチをおこなったりすることが重要です。
神経ブロック
腰椎椎間板ヘルニアにともなう痛みがあまりにも強い際には、硬膜外ブロックや神経根ブロックなど、神経ブロックをおこなうケースがあります。保存療法の中でも特に鎮痛効果が期待できる治療法ですが、神経根ブロック注射には強い痛みをともなうデメリットもあります。
手術療法
保存療法の改善が見られない場合や、馬尾型のヘルニアにともない日常生活に支障を来すような場合には、sh術療法が検討されます。
主な手術方法としては、内視鏡下椎間板摘出術(MED法)や完全内視鏡下腰椎椎間板摘出手術(FED法)があげられます。
いずれも肉眼や顕微鏡下での手術に比べて傷跡が小さく、早期に仕事や家事などに復帰できる点がメリットの1つです。
注意!椎間板ヘルニアの人がやってはいけないこと
椎間板ヘルニアを発症している方は、次のような動作を避けるようにしましょう。
✓腰に負担をかける動き
✓喫煙
椎間板ヘルニアの人がやってはいけないことについて解説します。
腰に負担をかける動き
腰椎椎間板ヘルニアにともなう症状は腰への負担によって増悪するため、前かがみの姿勢や中腰の姿勢、重い物を持ち上げる動作などは可能な限り避けましょう。
喫煙
たばこに含まれるニコチンは毛細血管を収縮させ、椎間板の変成を引き起こしやすくなるため、可能な限り禁煙するよう心がけましょう。
腰椎椎間板ヘルニアの予防法とは?
仮に手術でヘルニアを摘出したとしても、生活習慣を改めなければ何度でも再発する可能性があります。そのため、普段から以下の点を意識してヘルニアを予防しましょう。
✓日頃から「正しい姿勢」を意識
✓中腰での作業を避ける
✓筋力トレーニング
✓温浴する
腰椎椎間板ヘルニアの予防法について解説します。
日頃から「正しい姿勢」を意識
長時間の同一姿勢や猫背などの不良姿勢は、椎間板に偏った圧がかかる原因の1つです。デスクワークのときは椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばすように意識しましょう。
猫背だけでなく反り腰も腰への負担を増加させるため、椅子に座るときは腰を反らせすぎないよう注意しましょう。女性の方はハイヒールを履きすぎないようにすることもポイントです。
中腰での作業を避ける
腰椎椎間関節の症状は草むしりや風呂掃除、重い荷物を持ち上げる動作などで増悪する傾向にあります。中腰での作業はできるだけ避けるか、長時間おこなわないよう意識しましょう。
筋力トレーニング
体幹の筋力が低下すると、上半身をまっすぐに支えることが困難となるため、猫背や反り腰のリスクが増加します。普段から筋力トレーニングをおこない、上半身をまっすぐに支えられるよう意識しましょう。
温浴する
腰椎椎間板ヘルニアを発症している方の多くに、筋緊張にともなう血行不良が見られます。回復を高めるためにもシャワーで済ませるのではなく、なるべく湯船につかることがおすすめです。
まとめ
腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板の中から髄核が飛び出し、神経圧迫を起こす病気の一種です。神経根型のヘルニアは自然に回復するケースも期待できるため、日頃から温浴やストレッチなどに取り組むことがおすすめです。
馬尾型のヘルニアを発症した場合、日常生活に支障を来す可能性があります。腰痛だけでなく両足のしびれや排尿・排便障害が見られる際には、すみやかに医療機関を受診することが欠かせません。
腰椎椎間板ヘルニアはぎっくり腰の原因にもなるため、腰痛の方はなるべく早めに専門家の診察を受け、原因を特定したうえで適切に対処しましょう。
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