【大腸がんの治療】手術や抗がん剤・放射線治療などを名医が解説
大腸がんの治療は、がんの進行度(病期・ステージ)や患者さんの全身状態に応じて、内視鏡治療(内視鏡的切除)、外科手術、抗がん剤治療(薬物療法)、放射線療法など、様々な選択肢があります。
本記事では、大腸がんの治療法について、それぞれの特徴や治療の流れなどを詳しく解説します。
大腸がん治療の全体像をわかりやすくご紹介しますので、大腸がんの治療の流れを知りたいという方はぜひ参考にしてみて下さい。池袋西口病院には、同僚の医師や看護師から大腸がんの名医と言われている天野 智文医師が在籍しています。
大腸がん治療の基本的な考え方

大腸がんの治療方針は、がんの進行度(ステージ0〜Ⅳ)によって大きく異なります。
がんの深さ(深達度)、リンパ節への転移の有無、遠隔転移(肝臓や肺などへの転移)の有無を総合的に評価し、がんの病期(ステージ)を見極め、最適な治療法を選択していきます。
早期の大腸がん(ステージ0〜Ⅰ)であれば、内視鏡的治療で完治を目指せる場合も多くあります。
一方、がんが進行している場合(ステージⅡ〜Ⅳ)には、外科手術を中心に、抗がん剤治療や放射線療法を組み合わせた集学的治療が必要になることもあります。
いずれにせよ、がんの病期や本人の希望はもちろん、患者さんの体力やその他基礎疾患、併用治療の状況などによって、総合的に治療方針を決定していくことになります。
内視鏡治療の適応と術式

内視鏡治療は、がんが粘膜内にとどまっている早期大腸がん(粘膜内がん)や、粘膜下層への浸潤が軽度のがんが対象になります。
内視鏡治療では、肛門から大腸内視鏡(カメラ)を挿入し、病変を目視しながら内視鏡を使ってがんを切除していきます。
切除方法には、「スネアポリペクトミー」、「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」、「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」など様々な術式がありますので、状況に応じて最適な術式を選択していきます。
外科手術の適応
遠隔転移を伴わない根治切除可能なステージ0〜Ⅲの大腸がん(内視鏡切除適応外の病変)の標準治療は外科切除です。
根治切除の原則としては、「原発巣を含む十分な腸管切除と所属リンパ節の郭清」です。
つまり、病変や病変周囲(転移している可能性がある部分)だけではなく、がん細胞周囲のリンパ節を除去するという考え方です。
幅広く病変を切除することで、がん細胞を根治的に切除することを目的とします。
また、遠隔転移を伴うステージⅣの大腸がんであっても、原発巣と転移巣がともに切除可能である場合や、大腸がんによる腸管狭窄や出血などの症状がある場合には、延命や症状緩和を目的とした手術を実施する場合もあります。
抗がん剤治療(薬物療法)

大腸がんの治療において、抗がん剤治療(薬物療法)は非常に重要な役割を担っています。
抗がん剤治療は、手術と組み合わせることで再発リスクを抑える「術後補助化学療法」と、進行した大腸がんや再発した大腸がんに対して症状緩和や延命を目指す治療の2つに大きく分けられます。
近年の医学の進歩により、患者さんのがん細胞の遺伝子情報を詳しく調べることで、より効果的な薬剤を選択できるようになってきました。
治療効果を最大限に引き出しながら、副作用を最小限に抑えるために、患者さんお一人おひとりの状態に合わせた最適な治療プランを立てていくことが重要です。
補助化学療法(術後補助化学療法)
大腸がんに対する薬物療法には、術後再発抑制を目的とした補助化学療法と、延命や症状緩和を目的とした切除不能進行・再発大腸がんに対する治療の2種類があります。
補助化学療法は、手術によって病変を完全に取り切れた症例に対して、再発を抑制し予後を改善する目的で術後に実施される薬物療法です。
手術でがん細胞を切除したとしても、全身に「目には見えないがん細胞」が存在している可能性があります。
手術では「目に見える部分とその周辺」にしかアプローチできませんので、手術と化学療法(抗がん剤治療)を組み合わせることで、可能な限り再発リスクを下げるという考え方が補助化学療法です。
使用する抗がん剤によって、投与スケジュール(治療スケジュール)や想定される副作用は異なります。
患者さんの状態に合わせて最適な抗がん剤治療を選択していきます。
切除不能進行・再発大腸がんに対する治療
切除不能進行・再発大腸がんであっても、薬物療法を行うことで生存期間を延長することが可能であることが知られています。
がん細胞の遺伝子を検査することで、細胞にあった抗がん剤治療を実施することが可能になります。
例えば、薬物療法を行う前には、RAS遺伝子検査、BRAF遺伝子検査、MSI検査を実施し、その結果や腫瘍の位置を考慮して治療方針を決定します。
ひとつの抗がん剤を単独で使用するわけではなく、複数の薬剤を組み合わせて治療を行うことが一般的です。
また、使用する抗がん剤によって、その有効性はもちろん、副作用のパターンなども異なりますので、患者さんの状態に合わせて最適な治療プランを構築していきます。
放射線療法

大腸がんのなかでも、直腸がんに対しては、補助放射線療法を行うことがあります。
手術前にがんのサイズを縮小することで、治癒率の向上、肛門の温存、再発リスクの低下などを目的として実施される場合があります。
その他にも、進行再発の大腸がんに対して、痛みや出血などの症状緩和、骨転移や脳転移による神経症状を緩和するなど、延命や症状緩和といった目的で放射線療法が選択されるケースもあります。
全ての大腸がん患者さんに放射線療法が行われるわけではなく、放射線療法の有効性や副作用などのバランスを見ながら、患者さんに合わせた治療を実施していきます。
大腸がん治療は早期発見・早期治療が重要です
大腸がんは、発見される時期(病期・ステージ)によって、治療法や予後が大きく異なるがんです。
早期に発見できれば内視鏡治療であっても完治を目指せる可能性が高く、ステージⅠの5年生存率は90%以上と非常に良好な成績も報告されています。
一方、進行してから発見された場合、外科手術に加えて抗がん剤治療や放射線療法など、複数の治療を組み合わせた治療が必要になる可能性もあります。
そのため、できる限り早期に発見し、がん細胞が進行する前に適切な治療を開始することが重要です。
大腸がんを早期発見するためには?
大腸がんの大きな特徴は、初期段階ではほとんど自覚症状がないという点です。
仮に症状があったとしても、日常的に感じるような症状(下痢や便秘など)が多く、症状だけで大腸がんを疑うというのは簡単ではありません。
「お腹の調子が明らかにおかしい」、「便に血が混じる」といった症状が現れた時には、すでに大腸がんが進行している可能性も少なくありません。
だからこそ、症状が出る前に定期的な検診を受けることが極めて重要です。
便潜血検査(便検査)や大腸内視鏡検査などの検診により、症状がない段階でがんやポリープを発見できれば、より負担の少ない治療で完治を目指すことができます。
年齢とともに大腸がんのリスクも上がっていきますので、特に、40歳を過ぎたら年に1回の便潜血検査を受けることが大切です。
また、家族に大腸がんの既往がある方や、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患をお持ちの方は、より積極的な検診が必要となる場合もあります。
まずは、今のお体の状態を正しく把握し、患者さんに合わせた検診方法(頻度や内容)を選択することで、大腸がんの早期発見に努めることが重要です。
大腸がんは正しく診断し根拠のある治療を行うことが重要です

大腸がんの治療は、病期だけでなく、患者さんの年齢、全身状態、合併症の有無、ご本人の希望など、様々な要素を総合的に判断して決定されます。
同じステージの大腸がんであっても、患者さんごとに最適な治療法は異なることがあります。
治療方針を決定する際には、担当医から治療の目的、期待される効果、想定されるリスクや副作用、治療後の生活への影響などについて、十分な説明を受けることが大切です。
わからないことや不安なことがあれば、遠慮せずに質問し、納得したうえで治療を選択するようにしましょう。
また、手術の術式や抗がん剤治療の内容などは、日々進化し続けています。
最新のデータや科学的根拠を参考にしながら、最適な治療プランを構築していく力が医療機関・医師には求められています。
大腸がん治療の名医をお探しならおすすめは池袋西口病院
池袋駅から徒歩5分で全国から患者様にご来院いただいている池袋西口病院には、同僚の医師や看護師から大腸がんの名医と言われている天野 智文医師が在籍しています。天野 智文は日本内科学会の総合内科専門医で日本消化器病学会専門医で日本消化器内視鏡学会の専門医・指導医でもある医師歴約30年の経験豊富な医師になります。週刊現代の「あなたの街の最高の病院とクリニック」など、様々なメディアからも取材を受けています。(雑誌の内容はこちら▶)
池袋西口病院では、大腸がんの診断から治療まで、最新の医療技術と豊富な経験に基づいた質の高い医療をご提供しております。
当院では、内視鏡検査による早期診断から、内視鏡治療、外科手術、抗がん剤治療まで、患者さんの病期や状態に応じた最適な治療を、一貫して実施することが可能です。
また、治療後の経過観察も含めて、長期にわたって患者さんをサポートする体制を整えています。
少しでも気になる症状がある方、健康診断で便潜血検査が陽性だった方、家族に大腸がんの既往がある方、あるいは「特に症状はないけれど検診を受けたい」という方まで、どうぞお気軽にご相談ください。
早期発見・早期治療が、大腸がんを克服するための最善の方法です。
池袋西口病院が、患者さんお一人おひとりに寄り添った医療を提供し、健康な生活を取り戻すお手伝いをさせていただきます。
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参考)
大腸がんファクトシート2024(国立がん研究センターがん対策研究所)
https://www.ncc.go.jp/jp/icc/crcfactsheet/index.html
このページの監修医
天野 智文(アマノ トモフミ)

- 現歴
- 消化器内科・一般内科
- 出身大学・卒業年
- 東北大学医学部 平成9年卒
- 認定医・専門医・指導医等
- 日本内科学会:総合内科専門医
- 日本消化器病学会:専門医
- 日本消化器内視鏡学会:専門医・指導医
- 日本医師会:認定産業医

