大腸がんの初期症状は?チェックポイントを医師が解説

  • 癌(がん)
大腸がん検診のイメージ

大腸がんは、日本では年間15万人以上が診断される最も多いがんです。
しかし、早期発見(ステージⅠ)できれば、5年生存率は90%以上と非常に高い治癒率を誇るがんでもあります。
そんな大腸がんの初期症状は、「日常的な体調不良と区別しにくい」という特徴があります。
「最近お腹の調子が悪い」、「便秘と下痢を繰り返している」といった症状でも、その背景には大腸がんが潜んでいる可能性もあります。

本記事では、大腸がんの初期症状として現れやすいサインから、実際に患者さんが「何かおかしい」と気付いたきっかけ、そして早期発見につながる検査方法までをわかりやすく解説します。
大腸がんを早期発見するための第一歩は、正しい知識を持つことから始まります。
体調不良を見過ごさないためにも、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

 

大腸がんの初期症状

大腸がんの初期には自覚症状がほとんどない場合が多く、大腸がんの「初期症状」と日常的な体調不良と区別することが難しいという特徴があります。
便秘、下痢、便が細くなる、血便など、便の形状変化が出現したり、これまで規則正しかった排便が、急に便秘がちになったり、逆に下痢を繰り返したりするなど、便通の異常が現れる場合もあります。
その他にも、腹痛や腹部のハリ、残便感(便を出しきれない感じ)など、様々な症状を自覚するケースもありますが、どの症状も大腸がん特有的(固有的)なものではなく、症状を見過ごしてしまう方も少なくありません。

また、大腸がんには、「がん」ができる場所によって、症状の出現パターンが変わるという特徴があります。
がんのできている場所や大きさ、腫瘍の形によって症状にも違いが生じますので、「この症状があれば大腸がんの可能性がある」というものではないことを知っておきましょう。
逆に、特別な症状はなくても、大腸がんが潜んでいる可能性がありますので、定期的な検査を受け、疾患の早期発見と早期治療を行うことが重要です。

 

実際に患者さんが大腸がんに気付くきっかけ

大腸がん検診の検診票

大腸がんが発見されるきっかけとして多いのは、健康診断での便検査(便潜血陽性)です。
自覚症状がなくても、便検査で陽性となり、大腸内視鏡検査や大腸CTなどの精密検査で大腸がんが発見されるケースは少なくありません。
先にも述べたように、大腸がんには初期症状や自覚症状が少なく、症状が出現する時には、すでに病状や病期が進行してしまっているという可能性があります。
そのため、初期症状や自覚症状はなくても、定期的な検査を受け、万が一異常が見つかった際にも、すぐに対応できるように準備しておくことが大切です。

 

大腸がんと遺伝の関係(家族歴がある場合)

大腸がんには遺伝的要因も関与しています。
ご家族に大腸がんの既往がある場合(家族に大腸がんの方がいる場合)、そうでない人と比べてリスクが高くなることがわかっています。
そのため、家族に大腸がんの既往がある方は、症状がなくても年1回の大腸内視鏡検査を受けるなど、より積極的な検査が推奨される場合もあります。

 

大腸がん初期症状のチェックリスト

チェックリストの写真

繰り返しになりますが、大腸がんには初期症状はほとんどありません。
自覚症状がないままに水面下で進行する可能性がありますので、定期的な検査や健康診断を実施することがとても重要です。
そのうえで、以下に紹介するような症状が見られる(繰り返す)場合には、大腸がんを含め、何らかの疾患が潜んでいる可能性がありますので、できるだけ早めに消化器専門医や消化器専門の病院を受診することが大切です。

 

症状チェックリスト

  • 血便が続いている
  • 便に黒い・赤い血が混ざっている
  • 腹痛が続く
  • 便秘と下痢を繰り返している
  • 急激な体重減少がある
  • 便が細くなって残便感がある
  • ガスが増えている
  • お腹のハリや腹痛が続く

これらの症状は、必ずしも大腸がんを意味するものではありませんが、他の腸疾患を始め、様々な疾患が潜んでいる可能性もあります。
気になる症状があるという方は、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。

 

大腸がんの検査方法と早期発見の重要性

大腸がんの初期には自覚症状がほとんどないため、定期的な検査による早期発見が極めて重要です。
早期に発見できれば5年生存率は90%以上ですが、進行してから発見されると治療の選択肢も限られ、生存率も大きく低下してしまいます。
実際に、健康診断の便検査で疾患が偶然発見されるケースも多く、それによって早期治療が可能になるという場合も少なくありません。
ここでは、大腸がんを早期発見するための各種検査方法について、それぞれの特徴を詳しく解説します。
便潜血検査から大腸内視鏡検査、CT検査、血液検査まで、各検査がどのような役割を持ち、どのように使い分けられているのかを理解することで、少しでも検査の必要性をご理解いただければ幸いです。

 

便潜血検査

大腸がん検診に使用する検便キット

大腸がんの基本的な検査のひとつが便検査(便潜血検査)です。
便潜血検査は、便に微量の血液が混ざっていないかを調べる検査で、自覚症状がない段階での疾患発見にも有効です。
検査は簡単で、専用の採便容器を使って便を少量提出するだけです。
企業の健康診断などでも一般的に実施される便検査でも、便潜血を確認することは可能です。
万が一、便潜血検査が陽性となっても、必ずしも大腸がんとは限りません。
痔や大腸ポリープ、炎症性腸疾患などでも陽性となる可能性がありますので、「陽性となった場合には早めに精密検査を受ける」ということが重要です。
また、陰性になったから絶対に大丈夫ということでもありませんので、1年に1回検査を継続するなど、定期的なチェックを欠かさないことが大切です。

 

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査は、大腸がんの診断における精密検査のひとつです。
大腸内視鏡検査では、肛門から内視鏡(カメラ)を挿入し、大腸全体を直接観察していくような検査になります。
直接大腸の中を目視できるため、病変の有無をしっかりと確認していくことが可能です。
また、病変を発見した場合には、その場で組織を採取(生検)できるため、細胞が悪性かどうか(良性腫瘍か悪性腫瘍か)を見極めることも可能です。
大腸内視鏡検査の前準備として、前日から食事制限があり、当日は下剤を服用して腸内をきれいにする必要があります。
下剤を使って腸内の内容物をできる限り減らし、きれいな状態の腸内を観察していくことで、より正確な診断が可能になります。

 

大腸CT検査やMRI検査

CTコロノグラフィー(大腸CT)は、CT装置を使って大腸を立体的に描出する検査です。
内視鏡検査が困難な方であっても、大腸CTであれば実施可能な可能性があります。
大腸CT検査では、肛門から炭酸ガスを注入して大腸を膨らませ、CTで撮影します。
内視鏡検査よりも検査自体の身体的負担が少ないというメリットがありますが、小さな病変の発見が難しかったり、病変が見つかってもすぐに組織採取ができないなどの制限もあります。

 

腫瘍マーカー検査

血液検査でがんの存在を確認する方法として、「腫瘍マーカー」と呼ばれる指標があります。
腫瘍マーカーには様々なものありますが、「CEA」や「CA19-9」などの腫瘍マーカーは、大腸がんの検査指標のひとつとして使用されます。
腫瘍マーカーは、血液検査で測定できる便利な検査なのですが、あくまでも補助的な検査であることを理解しておくことが重要です。
腫瘍マーカーが正常値でも大腸がんの可能性は否定できませんし、逆に腫瘍マーカーが高値でも必ずしもがんとは限りません。
大腸がんを早期発見するためには、腫瘍マーカーだけではなく、便検査や内視鏡検査などが大切となります。

 

大腸がんの原因

赤身肉や加工肉の写真

大腸がんの発生には、様々な要因が複雑に関与しています。
ひとつの原因によって発症するわけではなく、遺伝的な要因と生活習慣などの環境要因が組み合わさることで、発症リスクが高まると考えられています。
例えば、食生活の欧米化が、日本における大腸がん増加の代表的な要因とされています。
赤肉(牛肉、豚肉、羊肉など)や加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)の摂取量が増えることで、大腸がんリスクが増加する可能性があります。
また、日本人の食物繊維の摂取量は年々減少傾向にあり、これも大腸がん増加の一因と考えられています。
その他には、飲酒や喫煙、精神的ストレスの増加などが要因となる場合もあり、これらに遺伝的な要因や年齢(加齢)が組みあわされることで、大腸がん発症のリスクが増加していきます。

 

大腸がんを予防するには

大腸がんには遺伝的・先天的な要因も含め、数多くの要因が複雑に関与しますので、完全に予防するということはできません。
しかし、大腸がんのリスクを高める生活習慣も多く、これら生活習慣を改善することで、大腸がんの発症リスクを低下させられる可能性があります。
また、定期的な検診により、早期に病変を見つけ、迅速に治療を実施することも不可能ではありません。
大腸がんの原因を理解し、改善可能なリスク要因に対して適切な対策を取ることが、予防への第一歩となります。

 

大腸がんの初期症状をチェックするなら池袋西口病院がおすすめ

池袋西口病院の入口外観写真

大腸がんは、早期に発見できれば治癒率の高いがんのひとつです。
しかし、初期症状が分かりにくいため、定期的な検診が重要です。
また、排便習慣の変化、便の形状変化、原因不明の体重減少などの症状がある場合には、積極的に医療機関を受診することをお勧めします。

池袋西口病院では、大腸がんの初期症状の発見に向けて、最新の検査機器と積極的な検診への取り組みを実施しております。
少しでも気になる症状がある方、検診や検査を受けたいという方は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

公式ホームページ↓

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参考)
大腸がんファクトシート2024(国立がん研究センターがん対策研究所)
https://www.ncc.go.jp/jp/icc/crcfactsheet/index.html